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Harry Francis Mallgrave, Modern Architectural Theory, A Historical Survey, 1673-1968, Cambridge University Press, New York, 2005

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 こちら(http://d.hatena.ne.jp/madhutter/20090104)でも見た、ゼムパーの「様式」に関連する部分とゼムパーのシカゴへの影響部分を再確認する。前回引用部分の続き。

 

「様式とは、と彼はこう書く。芸術作品の主題を変容させる根本理念およびあらゆる内在的・外在的係数に、芸術的重要性と強調を与えることを意味する。根本理念あるいは主題はこの定義の中心にある。「内在的・外在的係数」は主題の表現に影響する。内在的変数は作品生産で用いられた素材や技術的手段であり、外在的変数は作品に影響する地域的なもの、時代的なもの、国民的なもの、それに個人的要素である。ここにある希望は現今の変数やそれが芸術的に含意するものをひとたび適切に分析するなら、我々は再び様式をもって作品を生産することができるということである。芸術は効果的に工業時代に入っていくことができ、その生産は新しいパラメータに呼応するものでなければならない」(135頁)(引用元はゼムパーの『科学、工業、芸術』)。

→のちのボウマンのイリノイ建築家協会での講釈では「様式とは構造とその構造が出自した条件の一致である」→TC、何ともデリダ的条件。

 

「『様式論』における「比較方法」あるいは「実務美学」によって、とりわけゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル他のロマン派哲学者による抽象的美学理論を転倒させることを目論み、初期のドイツ理論から袂を分かった」(136頁)。

「この構造によってゼムパーは彼の四つの基本要素の分析を、織物(テキスタイル)、焼物(セラミック)、木造結構(テクトニクス)、切石組積(ステレオトミー)と、芸術生産の展開に従って始める」(136頁)。

 

「テクトニクスとステレオトミーの章では他にも新しいポイントがある。ローマン・ヴォールトに内在する「空間」モティーフについて述べながら、たとえばゼムパーは空間自身の問題を建築的考察に値する領域として取り上げる。鋳鉄の議論で、ドイツにおいてこの世紀中続くことになる理論的パラメータを置く。なぜなら鋳鉄は細くなるほど完璧で効果的となる素材ゆえ「芸術の地としては不毛」たらざるを得ない」(137頁)。

「重要な被覆(Bekleidung)概念についての主題とは離れた長たらしいメッセージにおいて、人間の被覆と建築の被覆の類比を彼は行う。彼の建築論の主題を詳しく展開するのである」(137頁)。

 

「1887年3月(イリノイ建築家協会・会合における)ボウマンによるゼムパーの様式定義の参照は、付随的だが重要である。この建築家によるゼムパーの一連の解説の始まりであったからである。これは1889年と1892年のAIAでの講演前に読んでいた二つの論文を含み、彼のこの関心がルートをしてゼムパーの最後の講義「建築様式論」の翻訳へと向かわせた。ボウマンともども1889年の『インランド・アーキテクト』1889年の号に発表された。よってゼムパー思想、とりわけ四つの建築的モティーフのコンセプチュアル・モティーフは明らかに1880年代シカゴの空気に広まっていたのである」(165-166頁)。

 

メモ

ボウマンの記事

“Thoughts on Architecture,” Inland Architect and News Record 16(November, 1890)56-60

“Thoughts on Style,”20 November 1892 34-7

 

Roula Geraniotis,

“German Architects in Nineteenth-Century Chicago,”(Ph.D.diss., University of Illinois, 1985)

“German Architectural Theory and Practice in Chicago,1850-1900,”Winthur Portfolio 21(1986), 293-306

 

 

ついでにメモ

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ついでにメモ。23:40から50あたりにかけて司会者と推薦者が複数回「ハリー・モルグレーヴ」と発音している。その二人前、建築財団ディレクターのサラ・イチオカ氏は日系人なのか。

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