デイヴィッド・リカードウ『経済学および課税の原理上・下巻』羽鳥琢也・吉澤芳樹訳、岩波書店、1987
冒頭で地主、資本家、労働者の三階級が整理され、それぞれの利益は地代、利潤、賃金であると整理される。スミスの労働価値説を基本的には継いでいる。
地代が発生するのは土地の肥沃度などに質的な差があるからであり、人口が増えるに従い、質的に劣る土地で農業が始まると、それまでの質的に高い土地に地代が発生する。そうでなければ、土地の生産力というなどというものは水や空気と同じである。地代は利潤や賃金とは無関係である。
利潤と賃金は相反関係にある。のちのマルクスの場合は、ここに剰余価値を見出し、剰余価値が剰余価値を生んでいく致富運動を資本主義と呼んだ。
外国貿易について述べた部分は、スミスの「見えざる手」の逆説とその論理はよく似ている。ただしそれがもたらすものは、「利潤」であるとあくまでも述べられている。
課税は政府の収入である。
アダム・スミス、デイヴィッド・リカードウ、カール・マルクス、ジョン・メイナード・ケインズ、経済学四天王は、これで一通り目を通した。マルクスとケインズのあいだにはウィーン学派/限界効用価値説がある。