Stolog

メモ

Sullivan, Louis H. The tall office building artistically considered. Lippincott`s Magazine, March 1896, MIT OpenCourseWare

 

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ルイス・ヘンリー・サリヴァンの重要論文であり、そのエッセンスが詰まった論文である。

まずサリヴァンの関心事はformにあり、本論もモダンオフィスビルディングの形(form)はどうあるべきかという点から論が起こされ、最終的な「法則(the law)」である有名な「形はつねに機能に従う(Form ever follows function)」が導き出されていく。ただしサリヴァンの述べる「機能」は有機主義的なものであり、このことがホレーショ・グリーノウとの関連性を参照させてきたものである一方、グリーノウとの関連は単なるこじつけのようにも見え、実際、グリーノウはここにあってはほとんど関係ないように見える。こちら(http://rco-2.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/function-and-fo.html)とこちら(http://rco-2.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/adler-and-sulli.html)も。

前半部分はまさにマンフォードが『褐色の30年』で引用した通りで(http://rco-2.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/towards-modern-.html)、しかしながらこの論文の主旨は『キンダーガーテン・チャット』の記述ともある程度は重複するが、それより後ろの部分にあるように見える。

まず「建築家」を「投資家・技師・施工者」と対比的に捉える視点、それもいわば詩人/芸術家としての建築家として捉える視点である。そのまま引用する。「投資家-技師-施工者たちによる忌まわしい想像される建物を超える段階、というのも建築家の手がいまや確かに確たる位置に感じられるなら徹底的に確固とし、論理的で、与条件の一貫した表現の示唆がはっきりしたものとなってくる」、「彼にディテールにいたるまで形の才能があるなら、それへのいくばくかの愛があるなら、その結果はさらに、その表現における簡明でまっすぐなナチュラルネスで完全なものにくわえ、魅惑的な情感をも持ち得るであろう」(3頁)。

サリヴァンがここから高層オフィスビルに見るそれゆえナチュラルな形の性質は上昇感(lofty)である(And at once we answer, it is lofty)。「高さの諸力(force and power)は栄光に包まれるに違いなく、そこには上昇のプライドがある」(3頁)。

有名な「形はつねに機能に従う」の前後の文章はこうである

「空を飛ぶ鷲がその翼をのばすときであれ、林檎の花が咲くときであれ、働き馬が歩むときであれ、あるいは明るい白鳥、枝分かれするブナの木、底流の渦巻き、流れゆく雲、何にもまして太陽の運行、これらにおいて形はつねに機能に従う。そしてこれは法である。機能が変わらなければ、形も変わらない」(3頁)。

ここから二つのことが窺える。一つはこの有機主義はいわゆる「技師の美学」とは異なるものであること、そしてもう一つはサリヴァンの最大の関心事は「形(form)」であること。