C.シュミット『政治的なものの概念』田中浩/原田武雄訳、未来社、1970
有名な友敵理論が述べられる書。
政治的なるものの基本的概念は、友/敵であり、これは道徳における善/悪、美学における美/醜のようなもので、なおかつ政治的なものとして独立しているとする。友が「善」で「美」である必要はなく、敵が「悪」で「醜」である必要もない。また「敵」は「公敵」であって「私仇」ではないとする。ラテン語では私仇はinimici、公敵はhoste。ここで少し整理。
Hospitem は hospes の単数対格。
Hospes は、主人、客、よそ者
Host はhospes から派生。
Host はhospesと同じく、主人、客、よそ者
Hospes からはhospitality
Host からはhostility
後ろの方では日本の憲法九条のモデルになったのであろうケロッグ条約とその評価が書かれている。その評価は、米国側からの「安保ただ乗り論」を先取りしているようでもある。