西谷啓治著作集10、創文社、1987
サルトル批判
実存主義の被投的・企投(geworfener entwurf)概念は、「被投」から「企投」への過程で実存主義の有名な「選択」という鍵概念が入る。これがサルトルのニヒリズムをして自我を強くしているという批判。
古代ギリシアではデミウルゴスは素材に形態を与えるフォーム・ギヴァー。キリスト教では神が無から有を創造したとしたために説明が難しくなったという説明。近代はこの神を除外したゆえ「無」が残ったという説明。
Subjectはもともと個人の主観でも主体でもない。キリスト教においてはsubjectにおける個人と世界は未分化。西田・西谷においては意志的なものは主体、意識的なものは主観と訳し分けられる。
西谷は仏教から「空」の概念を引っ張ってくるという説明。