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メモ

マルサス 『人口論』斉藤悦則訳 光文社 2011

初版は1798年

メモ

「人口はつねに生活物質の水準におしとどめられる」。これは明白な真理であり」(p20)。

「人口の増加力と土地の生産力とのあいだには自然の不均衡があり、そして、やはり自然の大法則により両者は結果的に均衡するように保たれる」(p32)。

「ヨーロッパの大部分では人口が前の時代より増えている理由は、住民たちの勤労によりそれらの国々で食糧の生産物が増えたことによる。輸出入をその領域内でおこなえるほど領土が広く、そして贅沢や倹約の習慣が度外れたものでないならば、人口はつねにその土地が生産する食物の量にきちんと比例する。このことはもはや文句なしに議論の前提にしてよいと思う」(p58)。

「近代においても、下男や下女その他、多くの人間が未婚のままにとどまっている。ヒュームはこれを近代の人口増加にたいする反証とみなす。私の考えはむしろ反対で、これを人口があふれている証拠と見なしたい」(p60)。

「未婚者の数を全人口と比べることは、その時期の人口が増えているのか、停滞しているのか、それとも減少しているのか、その判定を可能にする。だが、それはけっしてじっさいの人口を確定する基準にはならない」(p60)。

「イギリスでは貧乏人のために毎年巨額の金が徴収されているにもかかわらず、貧乏人はあいかわらず生活に苦しんでいる」(p69)。

「貨幣によって貧しい人を上に引き上げ、以前よりもよい生活ができるようにするのは、同じ階級の別のひとびとをその分だけ下に押し下げることによってのみ可能となる」(p73)。

イングランド救貧法は、つぎの二つの傾向を生んで、貧乏人の全体的な生活環境を悪化させるものである。

 第一の明らかな傾向は、人口をささえる食糧を増加させないまま人口を増やしてしまう」。「第二に、ワークハウス(強制労働所)は社会の有益な構成部分とは一般に考えられない者たちを収容する施設だが、そこにおいて消費される食糧の量は、もっと勤勉で、もっと価値のあるひとびとに渡るべき割り前を、その分だけ減らしてしまう」(p75-76)。

「農業の労働が商工業の労働より給与が低いのは同業組合や徒弟制度などのせいであるから、これに関連するすべての制度を弱体化させ破壊するために、あらゆる努力を傾けるべきである」(p83)。

「都市と農村の下層階級の状態を見れば、彼らは適切で十分な量の食糧をえられず、過酷な労働と不健康な住宅に苦しんでいる」(p85)。

「人口は、貧困および悪徳という二つの主要な抑制が取り除かれる程度にぴったり比例して、増加する。そして人口増加の速さは、民衆の幸福と純真を判断するうえでの最適の基準である」(p91-92)。

「三、四百年前、イングランドは現在に比べて、たしかに人口のわりに労働が少なかったが、従属ははるかに一般的だった。製造業の導入によって、貧乏人は領主があたえる食糧と交換に提供できるものをもてるようになり、領主の施しに頼らなくてもよくなった。そういうことがなかったならば、われわれは今日享受しているような市民的自由を持ちえなかったであろう」(p214-215)。

 

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